from 中国/台湾/香港

中国カフェ店の日本進出

茶系飲料の蜜雪氷城MixueやCOTTI Coffeeなど中国のカフェチェーン大手が相次いで日本で出店拡大する。1杯100円からと低価格が売りで、ミーシュエは2028年までに1000店の構想を掲げる。日本は有力カフェが混戦する成熟市場だ。中国チェーンは持ち帰り主体の小型店で攻勢をかけ世界への足がかりにする。

蜜雪氷城Mixue

持ち帰り主体のミーシュエ池袋店(東京都豊島区)
ミーシュエ池袋店(東京・豊島)では、平日の昼に人だかりができていた。紅茶は100円、タピオカ入りの「パールミルクティー」は360円で、台湾発の茶専門店「ゴンチャ」の同等品の6割程度の価格だ。雪だるまのようなミーシュエのイメージキャラクター「雪王(スノーキング)」がPRするソフトクリームは160円だ。

ミーシュエは1997年に中国河南省で創業した茶系飲料チェーンだ。格安ドリンクで若者中心に火が付いた。中国国営の新華社の8月の報道によると、店舗数は世界で3万店を超えた。海外ではインドネシアやシンガポール、タイ、日本などに3000店舗以上を展開する。

日本では5月に千葉県内の商業施設で期間限定店を出し、夏以降に本格展開を始めた。10月中旬時点で東京・池袋や表参道などと大阪に5店程度を構える。

日本展開を手掛けるエイブルジャパン(東京・中央)の範純宜専務は「低価格が強みだ。日本では茶系はコーヒーに比べ開拓余地が大きい」と話す。今後はフランチャイズチェーン(FC)を軸に、「23年中に15店舗程度、28年ごろまでに1000店舗を目指したい」と鼻息が荒い。日本で接客技術などのノウハウを蓄積し、アジア各国や米国進出を検討していくという。

蜜雪氷城Mixue

1997年に張紅超氏が河南省鄭州市で創業した。同氏が董事長、その兄弟である張紅甫氏が総経理を務める。売上高(103億元、2021年)のほとんどがFC加盟店への食材や包装資材、設備販売となっており、FC加盟店管理料収入は1.9%にとどまる。蜜雪氷城のほか、コーヒー中心の幸運咖(ラッキーカップ)、アイスクリーム中心の極拉図のブランドを擁する。

※蜜雪氷城Mixue会社HP:https://www.mxbc.com/

COTTI Coffee

客が並ぶコッティコーヒー西池袋店(東京都豊島区)
東京・池袋や本郷に出店したコッティは、看板メニューがエスプレッソをココナツミルクで割った「ココナッツラテ」(開業時価格は180円、通常570円)だ。西池袋店で同商品を注文した会社員の女性(26)は「中国への旅行時に知ってずっと来たいと思っていた。スターバックスより安い」と話す。

コーヒーの「アメリカーノ」は開業記念で100円だ。席数を抑えアプリ注文を用意するなど低コストで運営する。店舗は小型で、通常の外食店より都心で新規の立地を見つけやすい。

中国メディアによるとコッティはLuckin Coffeeの創業メンバーだった陸正耀氏や銭治亜氏が設立した。ラッキンは2020年4月に売上高の水増しなど不正会計が発覚し、米ナスダックに上場していたのを上場廃止に追い込まれている。

コッティは22年10月、福建省福州市に1号店を開いたのを皮切りに、この1年で中国国内で店舗数を急拡大した。今月15日には6000店舗目を開くなど創業初期のラッキンを上回るスピードで出店している。並行して海外展開も進めており、8月には韓国とインドネシア、日本、9月にはカナダにも進出した。日本でも年内に神保町(東京・千代田)や早稲田(同・新宿)などへ出店する計画だ。大阪でも既に契約済みの物件があると言い、多店化を急ぐ。

※COTTI Coffee会社HP:http://www.tongpopos.cn/

中国チェーンは日本で勝てるか?

中国の最新の状況

中国では低価格カフェチェーンが急拡大している。ラッキンの店舗数は年末までに1万5000店を超える見通し。背景にあるのがコーヒー飲用の習慣化だ。中国調査会社の艾瑞諮詢(アイリサーチ)によると中国のコーヒー消費量は年間11.3杯とこの5年で2倍に増えた。日本や米国と比べると大幅に少なく、さらなる拡大余地は大きい。

英調査会社ユーロモニターによると、中国カフェ市場は13年時点では141億元(約2800億円)だったが、22年には6.3倍の885億元と日本(4317億円)の4倍に伸びた。

中国チェーンは創業当初から海外展開を見据える。日本に注目するのは身近な喫茶・カフェ大国で店舗競争力を磨くためだ。

ただ日本では、最大手で米系のスターバックスコーヒージャパンが年100店ペースの出店を続け1800店を超える。低価格のセルフ式では「ドトールコーヒーショップ」などもあり群雄割拠だ。

さらに「セブンイレブン」などコンビニエンスストアやファストフードが100円台コーヒーを展開し、全ての価格帯で競合が存在する。ミーシュエの範氏も「日本はどこにでも(店が)あり対抗するのは難しい」と認める。

新型コロナウイルス禍で外食は苦戦し日本の中小規模店は倒産も相次いでいる。日本の消費者は価格と品質両方をシビアに見る。ブランド育成には細やかなマーケティング活動も欠かせず攻略は一筋縄ではいかない。

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