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ホンダ系J-MAX、中国にEV電池ケース新工場 CATL向け

ホンダ系部品メーカーのJ-MAXは、車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)向け電池ケースの新工場を中国に建設する。年内に着工し2025年稼働を目指す。既存工場の増強分も含めると投資額は約80億円。中国は電気自動車(EV)が拡大期だ。日本の部品会社もEV関連の世界大手との取引機会を逃さないよう対応を急ぐ。

J-MAXは福建省で8万平方メートルの土地を取得し、60億円を投じて新工場を整備する。鋼板に圧力をかけて加工する装置を並べた「プレス」ラインや塗装・溶接ラインを設ける。EVなどに搭載する電池のケースは月産20万〜25万台分をCATLに供給する計画だ。

広州市の既存工場では19億円を投じて、プレスのラインを増設する。電動化で需要が減るとみて、エンジン車の給油パイプ部品向けラインを電池ケースの塗装向けに変える。

福建、広州の両拠点を合わせた生産能力は、現状の40倍超となる月40万〜50万台分となる見込みだ。

車載電池のケースは畳サイズの箱状の部品で、電池を保護する役割を持つ。事故などの際に発火や爆発を防ぐ機能が求められ、生産には質の高いプレス技術が必要だ。

複数の電動車に搭載できる汎用性の高いケースを生産する。中国企業の電池増産を見据え、生産能力を競合より早く確保し、受注台数を伸ばしたい考えだ。将来的にはCATLの家庭用や産業用の電池ケースのほか、日系自動車メーカーが内製する電池向けケースの受注も目指す。

中国は世界最大のEV市場で、米テスラや現地勢の比亜迪(BYD)といったEVメーカーだけではなく、電池や部品を手がける企業も含めたEVサプライチェーン(供給網)が構築されている。需要を取り込もうと、自動車部品メーカーの間では中国のEVメーカー向けに投資を増やす動きが相次ぐ。

デンソーは自動車部品の中国現地での調達比率を引き上げる。新興EVが集積する現地での開発体制も拡充する。日産自動車などに内装部品を製造するパイオラックスはBYDや新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)への部品提供を始めた。パイオラックスは30年度に中国での売上高に占める現地車メーカー向けの取引の割合を現在の1割強から3割まで増やす。

ガソリン車中心の日系車メーカーとの取引だけに依存していては、減収リスクが避けられないとみる部品メーカーは多い。J-MAXは18年に初めてCATLから電池ケースを受注し、CATLにとっても主要取引先の一つだ。日本の部品メーカーがCATLに部品を供給するのはまだ珍しい。

ガソリン車市場の縮小に伴い、今後はEV関連製品の拡充を狙った日系部品各社が投資を増やし世界大手との取引も拡大する可能性がある。

J-MAXは22年7月に丸順から社名を変更した。岐阜県大垣市に本社を置き、自動車の車体部品の生産を主力とする。23年3月期の連結売上高は523億円、純利益は12億円だった。15年3月期はホンダ向けの売上高が全体の87%を占めていたが、23年3月期には67%となった。EVシフトを契機にホンダへの依存度を下げようとしている。

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